「被害者意識」は敵である

企画したことが、必ずしも実現するとは限らない。 資金的問題や時間の問題や人の問題で、時には暗礁に 乗り上げてしまうこともある。 どのようにこだわっても、やり遂げられないことは あるのである。 それは辛いことだが、撤退する勇気を持つべきである。 …

ヴェイユの言葉、創造

人間の偉大さとはたえず自己の生を再創造することにある。 自己に付与されたものを再創造する。 自己が甘受するものを鍛えあげる。 労働を介して、自己の自然的存在を産出する。 象徴を援用する科学を介して、宇宙を再創造する。 芸術を介して、自己の身体と…

写真作品とコンセプト1

確かに、コンセプトを決めて写真を撮ったら 「コンセプチュアルな写真」になるわけでは ないんですよね。 その点では、「コンセプチュアルな作品」って すごく誤解されていると思います。 一般的にコンセプチュアルな作家だといわれて いる人の中にも、作品…

無限について4

私の作品は単純でありかつ複雑である。 作品の素材の選択や制作行為を最小限のものに 止めるという意味で厳しく自己を限定しており、 無規定な素材をそのまま用いたり周りの空間を 受け入れるという意味で複合的でややこしい。つまり自己を最小限に限定する…

無限について3

私はいかにして、無規定で不案内な未知性と関わることが 出来るか、そのことのために表現を試みるのである。 (中略) 人間を含めた大きな外界との関連の中で、自己を見ようと することが、私の歴史意識であり世界観である。 世界は私を越えてあり、不透明な…

無限について2

作品は、語れるが言葉そのものではない。 作品は、外界と関わるものである限りにおいて、 言葉からズレ隔てられたものであるしかない。近代言語論的に従えば、言葉とは、つまるところ 自我の表出した代名詞であり、その再現である。私は時に、自我--言葉から…

無限について1

私は無限感の漂う作品が好きだ。 描いたものと描いていない空間が絡み合って、 余白の力が漲る唐宋代の山水画や、 わずかに遺った絵画の破片とその周りを埋めた 広大な漆喰との鬩ぎ合いを見せる古代ローマの 壁画群など、そこには作者を遙かに食み出た、 大…

「活人剣」と「創造の場」

宮本武蔵という剣術家は 「自分が殺されないためには、絶対的に相手よりも 上の力を備えることが必要だ」という思想を持っていた。 帰納法的に「仮想敵」を置いて、自らを鍛錬していた。 しかし「活人剣」の上泉伊勢守は「自分が作った物語(ドラマ) の中に…

ブランクーシ・本質的にリアルなもの

リアルなものは、外側の形態ではなく、事物の本質のほうである。 この事実から出発するとき、外面を模倣することによって 本質的にリアルなものを表現することはいかなる人にも不可能である。 コンスタンティン・ブランクーシ(彫刻家、1876-1957)

ル=グインの想像力3

リアリズムの作家もファンタジーの作家も、莫大な量のことを 語らずにすませ、イメージやメタファーによってぎりぎり 最小限のことを暗示し、読者がその出来事を想像できるように します。 そして読者はまさにこれをするのです。 物語は共同作業によって成り…

ル=グインの「想像力」2

経験はアイディアの源泉です。 でも、物語は起こったことを映す鏡ではありません。 フィクションは想像力によって変換され、変形され、 変貌させられた経験なのです。真実は事実を含みますが、 事実と共存することはできません。芸術における真実は模倣では…

ル=グインの「想像力」

想像力は、生の根底にある暗黒物質を 変貌させることができます。多くのエッセイや自伝を読んでいて、 わたしが足りないと感じだすもの、 どうしても欲しいと思うものはこの変貌なのです。わたしたちが共有している、なじみ深い苦しみを 認識するだけでは足…

単純さ

単純さは、芸術の目的ではない。 しかし、事物のリアルな感覚に接近してゆくと、 知らず知らずに単純さに到達するのである。 単純さは、その底に複雑さを秘め、 その意義を理解するためには、 その本質によって人は成長しなくてはならない。 コンスタンティ…

暗闇の床の中

眼がさめたとき、あるいは眠りに就く前に 床の中の暗闇で研究することについて― 暗闇の床の中にいるとき、以前に研究した形態の表面の 線とかその他微妙な観照によって把握された注目すべき 物を想像のなかで反復してみることは少なからず役に 立つものであ…

“幽玄”な佇まい

「本物とは、いろんなものを取り入れながらも それらを自分のものとして昇華させて、 濁りが無い澄みきった、それは目には見えない、 “幽玄”な佇まいを持っていることをいうのでは ないかと思います。」 (書家・木下真理子氏のblogより抜粋)

輪郭について

物体の輪郭はそれの一部分ではなくて、 それと接する他の物体のはじまりである。 かくのごとく交換的に、何の妨害もなく 前者と後者とは互いに輪郭をとなりあう。 したがってこのような輪郭は、 いかなるものの部分でもないのだから、 何ものをも占めていな…

ブランクーシの制作

”create like god, command like king, work like slave”.「神のように創造し、王のように指揮を執り、奴隷のように働け」 コンスタンティン・ブランクーシ(彫刻家、1876-1957)

全体を捉えつつ自らの役割を担え

あらゆるプロジェクトは、スタッフ全員が自らの役割において最大限に 能力を発揮してこそ素晴らしい成功に導かれるものである。 が、同時に忘れてはいけないことがある。 それは「全体を捉えつつ、自らの役割を担う」ということである。(中略) スタッフ全…

自らが「司祭」であることに目覚めよ2

また、司祭であるということは 「場の全体を常に見ていること」をも意味している。 チームワークには分業が付きものだ。いざ計画が走り始めたら、 スタッフを適材適所に配置し、全体の動きに目を配らなねばならない。 ビジネス・プロデューサーは、大教会に…

自らが「司祭」であることに目覚めよ

価値観の変革者であるビジネス・プロデューサーは消費者に 新たな「場」を提供する。と同時に、自らが率いるチームの スタッフにも「創造の場」を提供する。 ここで大切なのは 「ビジネス・プロデューサーは創造の場に君臨する王ではない」 ということである…

物の存在感、関係

人間でも物でもそこらにころがっていれば存在している ことになるのではない。それぞれはその大きさ、位置、 間隔、方向などの照応関係によってはじめて人間であり 物であることになる。ある物が広がりをもち存在感の あるように見えるときは、必ずや他の物…

紙の上の点

紙の上に点を打てば、それによって 下の紙の部分は消されてしまう。しかし点の下の部分は、消されることによって次の瞬間、 点をも抱え込んで一層大きく広いものとして蘇ってくる。つまり紙は点の辺りに海となって広がり、 点を島に変えてそこに浮かべる。芸…

制作のプロセス

通常はプランニングから制作を進める。 しかし逆に、物から、場所から、インスピレーションで 制作を始めることもたまにはある。 どちらも出発点であって、そのまますぐ作品になるわけではない。 プランニングから始めると、実際ではどんどんズレていくもの…

「中間項目」としてのグレー

グレーは存在感が弱く概念性に欠けている代わりに、曖昧で うつろいやすい未確定な世界を表すのにふさわしい色である。 そして作品が現実からも観念からも浸透を受けつつ、両方に 影響をおよぼす両義的な中間項である限りにおいて、 グレーはまさに絵画的な…

額縁―ひとつの美学的試み3

(『ジンメル・コレクション』「額縁―ひとつの美学的試み」より抜粋) 額縁の装飾全体を構成する決め手になっているのは、 流動と自己隔離の印象であり、これによって、絵画が あらゆる周縁的なものから絶縁されていることが強調される。 したがって分断のた…

額縁―ひとつの美学的試み2

(『ジンメル・コレクション』「額縁―ひとつの美学的試み」より抜粋) あらゆる心的現象において、ある存在が私たちにたいして距離を 保っているということは、その存在がそれ自身のうちで統一を 保っているということだ。なぜなら、ある存在が自己完結して…

額縁―ひとつの美学的試み1

芸術における境界とは、自然物において境界と呼ばれているものとは まったく意味を異にする。 自然物における境界とは、そのかなたにあるすべてのものとのあいだで、 たえまなく内浸透と外浸透が生じている場所というほどの意味しかない。 しかし芸術におけ…

余白の芸術

アートは詩であり批評でありそして超越的なものである。 そのためには二つの道がある。 一つ目は、自分の内面的なイメージを現実化する道である。 二つ目は、自分の内面的な考えと外部の現実とを組み合わせる道である。 三つ目は、日常の現実をそのまま再生…

「Photography」と「Digital Imaging」

「Photography」は、イギリスのジョン・ハーシェルが写真の発明者の ひとりであるタルボットに書き送った手紙のなかで初めて使った言葉で、 「Photo-」は「光の」、「-graphy」は「書く、描く」という ギリシャ語を組み合わせた造語であった。 つまり、「光…

ジャコメッリ、<想像の入口>としてのモノクローム2

<記憶の原色>にジャコメッリが気づいていたことはおそらく まちがいない。記憶する作業やイメージの作用においては モノクロームの世界のほうが格段にカラフルだと、かれは おもっていたはずだ。 彩色の貧困や彩色の陰謀にも気づいていただろう。 だから、…