2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

写真、見るためのもの

写真は一人の人間の写す単独の像である。 と同時に、絵画やインスタレーションといった美術内部にとどまる ジャンルとは違い、数多くの機能を社会のなかでになっている。 それが、「写真とは何か」という問いを複雑にするだろう。 記録、伝達、アリバイ、複…

日本写真史観の見直し1

写真は展覧会場に展示して美的価値を享受するためのメディア ではない、という考え方が、かつては支配的だった。写真は本来、 記録性を特性とするメディアであり、複数性を特徴とするのだから、 印刷媒体を通じて広く大衆の眼にふれる社会性でなくてはならず…

光と美術2 ―レオナルド・ダ・ヴィンチのスフマート

レオナルドは『絵画論』の中で、暗い部屋で灯火に照らされた人物を どのように描くべきか説明しているが、夜景画を描いた形跡はない。 彼は、光を強調せずに闇を描いた画家であった。それは、暗さを目的としたものではなく、微妙な光によって立体感や 空間の…

光と美術

光は視覚世界においてはすべての根源である。 目がある事物を認識するとき、形態や色彩といった その事物についての情報は、それを取り巻く光に依存している。さらに光は聖なるものの根源でもあり、多くの文化圏において、 神、真理、理性などの象徴とされた…