2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

書物とともに

書物からまったく離れて生きるのはむずかしいことです。 百年ばかり昔、アンドレ・ジッドは自分にむかって 「すべての書物を捨てるべし」と命じながら、 パリからアフリカへ旅立ちました。 旅の荷は軽くなかったようです。 ひそかに書物をたずさえていたから…

ゲーテの色彩論

単彩画やそれに近い作品の巧みな明暗表現に接すると、 このうえもなく心が和んでくるが、それはひとに全体を 同時に知覚するからである。 普通、われわれの眼は時間的な経過のなかで全体を捉える。 だから全体は生みだされるというよりも、 むしろ探し求めら…

イメージ

イメージは精神であり、物質、時、空間、視線のチャンスである。 われわれ自身の証しとなる痕跡であり、絶え間なく記憶や物語や 知の法則を支えるリズムを生きる文化のしるしだ。 マリオ・ジャコメッリ

未来のスピリット

手塚治虫が「鉄腕アトム」のイメージを造形しようとしたときに、 そのイメージの源泉になったものは、昆虫の世界でした。 子どもの頃から親しんでいた昆虫の社会をとおして、彼は生命の世界の奥深い構造を垣間見てきたのです。地球上の生物の中でも、昆虫ほ…