2012-01-01から1年間の記事一覧

贋作における「損傷」分析

シュタイングラバーは、オブジェを観察する要点は、 損傷、用途、年代の組み合わせだと教えてくれた。 「あらゆる損傷、ひっかき傷、打ち傷を見つけだし、心のなかで スケッチすること。つぎに、その傷がいつ、どのようにして ついたのか、説明してみること…

円覚寺の宝冠釈迦如来像、覚書

北鎌倉駅降りてすぐにある、臨済宗の大きな寺院 「円覚寺」を訪問。広い。 建物も鎌倉造りで、質実剛健、直線的な美しさがある。 無駄が一切無い。職人の仕事が匠なのだろう。 それでいながら、厳粛でなく、 アンビエントな雰囲気があたりを包む…とても落ち…

「シャルダン展」鑑賞の覚書

東京駅に隣接した、三菱一号舘美術館へ 「シャルダン展」を観に行く。 ジャン・シメオン・シャルダンの絵画を観るのは初めてだ。 瀟洒な洋館だった三菱一号館の室内に展示されている シャルダンの油彩画は小品が多く、そのほとんどが静物画だった。 解説にも…

「レーピン展」鑑賞の覚書

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されていた 国立トレチャコフ美術館所蔵「レーピン展」を鑑賞。 ロシアの画家イリヤ・レーピンの絵を観るのは始めてだ。 素描が巧く、素早い筆運び。 少ない線で細部まで的確に描きとめる力は見事。 まるでイラストレーショ…

読書の習慣について、覚書

本を読む習慣のない人は、まず「岩波文庫」を読むことを おすすめする。 できるだけたくさん。 岩波文庫は書店で新刊を買ってはいけない。 必ず古書店で物色して買うこと。たいてい300円以下で買える。 が、値段ではなく、「古書店に行く」習慣をつけるた…

「ジョアン・ミロ展」鑑賞の覚書

高知県立美術館で開催されていた 「ジョアン・ミロ展」を鑑賞。 暑い夏の平日だからか、ほとんど人がいない。 200点以上のリトグラフを観る。下手だ。だが「遊び心」に満ちている。 そこが面白く「ひょうげて」いて、まねできない。 いろいろな実験を試み…

オレンジをめぐる交渉

2人の姉妹が、ひとつのオレンジをめぐって口喧嘩をしています。 「半分に分けたら?」と親が言いましたが、2人とも 「ひとつ分が必要なの!」と言って譲りません。 しかし数分後、話し合いの結果、姉妹で無事に 分け合うことができました。 いったい何が起…

「マウリッツハイス美術館展」鑑賞の覚書

上野の東京都美術館で開催されていた 「マウリッツハイス美術館展」を観に行く。オランダの観光美術館のコレクションだけあって、 近世オランダ、フランドル絵画の傑作が展示されていた。レンブラントの作品は10点以上、 ルーベンス、ブリューゲル、フラン…

【美術】贋作、悪徳の芸術

贋作とは、常に芸術につきまとう影、芸術という美徳の存在なくしては 成り立たない悪徳である。なぜなら、人類が、自分たちの歴史、美しさを 描きとめた作品、天才と近づくための作品を所有したいと願う限り、贋作 者は嘲るような気取り笑いを浮かべ、その需…

仮説を立てる力

仮説を立てるときに必要なのは、多彩な知識と経験です。 けれども、そのままでは使えません。自分の知識や経験を 抽象化し、その分野に特化したささいな部分から再びもう少し 抽象度を上げて、それを比喩として使えるようになって はじめて、そこから仮説を…

ヴァレリオ・オルジャティの展覧会

図面や図版といったすべての情報は床に置かれている。 そして模型は樹のように立っているから、会場の中を歩き回っていると、 それらが自然に視界に入ってくる。展覧会という場所で、 人が本当に文章を読みたがっているとは思わない。 本でできることだから…