「レーピン展」鑑賞の覚書

Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されていた
国立トレチャコフ美術館所蔵「レーピン展」を鑑賞。
ロシアの画家イリヤ・レーピンの絵を観るのは始めてだ。


素描が巧く、素早い筆運び。
少ない線で細部まで的確に描きとめる力は見事。
まるでイラストレーションのよう。
油彩は主に人物画。
レンブラントから学んだ要素が多く感じられる。
筆のタッチは大きく厚塗り。
デッサンが精緻なので、粗いタッチでも像が端正に見える。
作品にあたる照明が明るく感じ、不自然だ。
レーピンの絵はもともと採光性の低い、
暗い室内に飾られていたのではないだろうか?
だとすれば精緻なデッサンなのになぜ厚塗りのタッチなのか、
自然な説明がつく。


トルストイゴーリキー肖像画は迫力がある。
レーピンは人物の存在感を深く感じ取る人(感じ取りすぎるほどに)
ではなかっただろうか。


椅子で眠る赤い服を着た妻を描いた表題作が、一番美しい。
他の絵にはメッセージ性や政治性が織り込まれており、
純粋な美しさとは違う印象を受けた。

額装はロシアらしい、大ぶりで暗い色合いのものが多かった。
(額装はその国の美術的な装飾性をあわらすひとつの指標だ)