暗闇の床の中

眼がさめたとき、あるいは眠りに就く前に
床の中の暗闇で研究することについて―


暗闇の床の中にいるとき、以前に研究した形態の表面の
線とかその他微妙な観照によって把握された注目すべき
物を想像のなかで反復してみることは少なからず役に
立つものであることをわたし自身体験した。
そしてこれはたしかに賞賛すべく、かつ物を記憶の中に
牢固たらしめるのに有益な行為である。


杉浦明平訳『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(上)』より抜粋)