通常はプランニングから制作を進める。
しかし逆に、物から、場所から、インスピレーションで
制作を始めることもたまにはある。
どちらも出発点であって、そのまますぐ作品になるわけではない。
プランニングから始めると、実際ではどんどんズレていくものでもあり、
場当たり的に始めても、次第にプランニングが見えてくるものである。
プロセスはメカニズムなのではなく、生き物の生成感覚であり、
従ってさまざまな出会いがあってこそ、それが作品を熟成させる。
いずれにしても重要なのは、制作が意識と外部性との交渉の中で
進行され、そして未知性を含む作品になっていくということである。
(李禹煥『余白の芸術』より抜粋)