紙の上の点

紙の上に点を打てば、それによって
下の紙の部分は消されてしまう。

しかし点の下の部分は、消されることによって次の瞬間、
点をも抱え込んで一層大きく広いものとして蘇ってくる。

つまり紙は点の辺りに海となって広がり、
点を島に変えてそこに浮かべる。

芸術は、そういった反転のしくみが生み出す世界感である。


李禹煥『余白の芸術』より抜粋)