物の存在感、関係


 人間でも物でもそこらにころがっていれば存在している
ことになるのではない。それぞれはその大きさ、位置、
間隔、方向などの照応関係によってはじめて人間であり
物であることになる。ある物が広がりをもち存在感の
あるように見えるときは、必ずや他の物とかそこの空間と
もっとも緊密に切り結ばれているはずだ。物はおのずと
広がりを持ったり求心的に周囲を作り出すとは言えない。
他との構造的な力の関係が物を言葉を存在感を生み出すのである。
世界は幾何学的に見える。


李禹煥『余白の芸術』より抜粋)