無限について3


私はいかにして、無規定で不案内な未知性と関わることが
出来るか、そのことのために表現を試みるのである。


(中略)


人間を含めた大きな外界との関連の中で、自己を見ようと
することが、私の歴史意識であり世界観である。
世界は私を越えてあり、不透明なものである。
私の取った方向は、この不透明な他者を前にする時、
自己が絶えず濁ったり漉されたりしながら他者として
生まれ変わるということだ。
これは制作が一つの乗り越えであり、
飛躍であることを示す。

だから作品は、自己と他者が相互媒介を行う
飛躍の場でなければならない。


李禹煥『余白の芸術』より抜粋)