「Photography」と「Digital Imaging」

「Photography」は、イギリスのジョン・ハーシェルが写真の発明者の
ひとりであるタルボットに書き送った手紙のなかで初めて使った言葉で、
「Photo-」は「光の」、「-graphy」は「書く、描く」という
ギリシャ語を組み合わせた造語であった。
つまり、「光がイメージを作る」、言い換えれば光自体が直接画像を
形成するという意味であり、狭義に考えると感光性物質の化学反応に
よる画像形成に限定される。
 欧米の写真家は、光が自動的に描く「Photography」は死につつあり、
全く別物である「Digital Imaging」に取って代わられると感じている
そうである。
日本では、同じ「写真」だが方法手段が違う「デジタル写真」へ移行
しているだけだという感覚がどこかにあるのかもしれない。
一般の人々はその移行を進歩と捉えているとさえ思える。
もちろん、一部には「Photography」がなくなっていくことを惜しむ
人もいるが、そういった人でも仕事ではデジタルイメージを扱うこと
が少なくない。



(大林賢太郎『写真保存の実務』より抜粋)