写真作品とコンセプト1

確かに、コンセプトを決めて写真を撮ったら
「コンセプチュアルな写真」になるわけでは
ないんですよね。
その点では、「コンセプチュアルな作品」って
すごく誤解されていると思います。
一般的にコンセプチュアルな作家だといわれて
いる人の中にも、作品をつくる過程の中で自分
がやっていることの意味を発見してそれが
コンセプトのようなものになっていく作家が
たくさんいると思うんです。
写真に限らず、美術でもコンセプチュアルな作品
は頭でつくっているように思われがちですけど、
それは違うんじゃないかと思います。


良い「コンセプチュアルな作品」とは、
コンセプトを追い越していく作品のことだと思います。
コンセプトに収まってしまわないから「作品」になる
わけで、頭で考えているものではなくて、それを
追い越していったり、そこからこぼれ落ちたりする
豊かなものが芸術を芸術たらしめているんだと思います。


野口里佳インタビュー「自由な写真」より抜粋)