2010-01-01から1年間の記事一覧

抽象2

天国について、まともな大人なら、好き勝手にいくらかの具体的イメージを含めながら、全体としては抽象的存在として認識できるが、その実在性は問題にする必要はない。つまり、天国なんて実在しない、と確信している人も、それなりに天国という世界を絵にえ…

抽象1

抽象というのはずるい。身勝手で自慰的で、それがそこに在ることが無いこととどれほど決定的に違うのか分かりにくい。 それでも、ぼくは、抽象はとても大切な認識の形式だとおもっている。跳躍力にすぐれているから広い世界を一気に、ひとつの概念で塗りつぶ…

奇眼暗室1

2008年末に、オッドアイの『分室』として、暗室を造りました。 手焼きの美しさ、素晴らしさを追求する有志とともに、「写真を焼く」という手仕事のためだけに存在する秘密の作業部屋を造りました。 宝玉の原石を掘り出し、その石の中に隠された美しい輝きを…

河鍋狂斎の描画法

河鍋狂斎(1831-89)は、「浮世絵」の最後期の巨匠の一人だ。 エミール・ギメとフェリックス、レガメーは、 1876年に彼に会っている。しかし注目すべきは、 1887年にあるイギリス人画家が狂斎と対談し、 そのイギリス人画家自身が報告した対談の内容だろう。 …

美を求める心

画家が花を見るのは好奇心からではない。花への愛情です。 愛情ですから平凡の菫の花だと解りきっている花を見て、 見厭きないのです。諸君は、何んとも言えず美しいと言うでしょう。 この何んとも言えないものこそ、絵かきが諸君の眼を通じて 直接に諸君の…

写真が好きになる本

『店主オススメの「写真が好きになる本」3冊』1)菅原一剛『写真がもっと好きになる。』 どこから読んでも楽しめる、誰でもひとつは面白さを発見できる一冊。2)辺見庸『私とマリオ・ジャコメッリ』 「白、それは虚無。黒、それは傷痕だ」。強烈なコント…

愛する人へ

私は地上のかたちを少しずつ失うたびに天空の輝きを少しずつ放ち始める人々はそのさまを滅びと呼んで指さすが私のたましいはそのすがすがしさにこのうえない自由を見出すその喜びは尽きることなくうるおい豊かな河のように青く満ちて深まり愛となってあなた…

ホール利用率がわかるサイト

「美術館や市民劇場などのホール利用率がわかるサイト」 県下のホール利用状況(空き・催し内容など)がWEB上でわかる ポータル・サイトがあったらいい。 という意見がありました。 施設ごとにひとつひとつ個別で利用状況を問い合わせるより、 一覧できるサイ…

“Conceptual Photography”

大学で日本文化を専攻し、東洋思想や 日本の心に深い関心を寄せる若きアメリカ人、 Adam Chamness(アダム・チャムネス)。“Conceptual Photography”という、ちょっとひと味違った 「心の芸術」としての写真を指向している。 Conceptual Photography is akin…

星の王子さま

サン=テグジュペリ作『星の王子さま』オリジナル版 (内藤濯訳/岩波書店)何度も読んだ本である。 読めば読むほど、自分がどれだけ”おとなの目”で見るようになったのか、 ”こどもの目”で見ることを忘れてしまったのか。何度読んでも、複雑な心境で黙り込んで…

昼が来て夜が来る

ものごとには明るい側面と暗い側面があり、それはコインの表と裏のように代わる代わる姿をあらわす。 昼が来て、夜が来る。

文化的な取り組みとしての「裏方」活動

文化的な活動全般に言えることですが、 アートを活動する側と、観客・愛好家側のあいだに、 直に接して協力する人材・スタッフが必要であると思います。 こうした人々の活躍は「裏方」であるため、目立つことは ありませんが、影の功労者であり、イベントを…

たましいの耳

人間が持てる、本当に美しい力を惜しみなくふるう音楽家に出会いました。 弱き心を助け共に生きる意志を励ます勇気に満ちた音色を私は死んでも忘れないでしょう私が音を聴いたのは肉の耳ではなくたましいの耳その響きはこころのなかで色彩となり白くまばゆい…

「-猫のいる風景-」写真

「猫の写真」、というのはよく見かけます。 「風景写真」もよく見ます。 どちらもカメラを手にして撮影する人にとって、 「撮りたい」被写体だと思います。猫はかわいく撮りたいでしょうし、 風景はきれいに撮りたい写真だったりします。では、このふたつの…

イエイツの詩

アイリッシュとの関連で、思い出したのですが、 クリント・イーストウッド監督の映画 『ミリオンダラー・ベイビー』のなかで、 クリント・イーストウッドが演じる ボクシングジムの老トレーナーが アイルランドの偉大な詩人 W.B.イエイツの詩を読むシーンが…

 W.B.イエイツ『ケルトの薄明』

爽やかな風に運ばれる草のにおいや、 木々に茂る緑の色が鮮やかさのせいでしょうか、 店主は新緑から初夏の季節になると、 よく妖精のことを思い出します。店主が子どもの頃、自然豊かな高知の山や海で遊びながら、 ときおり不思議な気配を感じたりすること…

追憶。

ようこそ。知る人ぞ知る画廊喫茶「奇眼」へ。ここでは閉店後、店主が独り静かに座っています。過ぎ去る日々のなかで、どんなことがあったのか…そしてどんなことが心に残ったのか。過去を遡り、思い出すひととき。さて、それでは珈琲を淹れて……追憶を始めまし…