星の王子さま

サン=テグジュペリ作『星の王子さま』オリジナル版
(内藤濯訳/岩波書店)

何度も読んだ本である。
読めば読むほど、自分がどれだけ”おとなの目”で見るようになったのか、
”こどもの目”で見ることを忘れてしまったのか。

何度読んでも、複雑な心境で黙り込んでしまう。
単純なファンタジーではない。

サン=テグジュペリの描く”星”とは、単に美しいものとか、個性の輝きとか、
人生とか、割り切れるものではないように思われる。
そしてまた得も知れない、もどかしさの宇宙に浮遊し、また本を開く。


「人間はみんな、ちがった目で星を見てるんだ。旅行する人の目から見ると、星は案内者なんだ。ちっぽけな光くらいにしか思ってない人もいる。学者の人たちのうちには、星をむずかしい問題にしている人もいる。ぼくのあった実業屋なんかは、金貨だと思ってた。だけど、あいての星は、みんな、なんにもいわずにだまっている。でも、きみにとっては、星が、ほかの人とはちがったものになるんだ……」