フランシス・ベーコンの“リアリティー”3


(インタヴュアー)「最期に残るリアリティーとは何ですか。そして、
それは最初に描いた対象とどのようにつながっているのですか。」


(F・ベーコン)「必ずしもつながりがるわけではないのですけれど、
画家は最初にモチーフとなったものと同等のリアリティーを生み出した
ことになります。何かを手がかりにして制作を始めなくてはなりません
から、あるモチーフを描き始めるわけですが、そのモチーフは制作が
進行すればしだいに消えていき、あとには残留物が残ります。

この残留物をリアリティーと言っているのです。それは出発点となった
対象と多少つながりがあるかもしれませんが、たいていの場合、ほとんど
無関係です。」


フランシス・ベーコン・インタビュー「肉への慈悲」より抜粋)