フランシス・ベーコンの“リアリティー”1

似たような作品がさまざまな方法で繰り返し作られ、
それらに囲まれた私たちは芸術漬けになっています。
そのため飽和点に達してしまい、リアリティーを生み出す
新しいイメージや方法を求めています。

結局、人間は創造を欲するのであって、いつまでも過去を
再生産したいとは思わないのです。ギリシア芸術が滅び、
エジプト芸術が最期を迎えたのも、延々と同じことを
繰り返していたためです。私たちはルネサンスであれ、
十九世紀の芸術であれ、過去のものをずっと模倣している
ことに耐えられません。新しいものを求めるのです。

それは写実的なリアリズムではなく、まったく恣意的でありながら
リアリティーのある作品を生み出す本当に新しい方法を作り出すこと
によって生まれるリアリズムです。


フランシス・ベーコン・インタビュー「肉への慈悲」より抜粋)